テストステロンで髪が太くなる?
「男性ホルモンが多いとハゲる」という噂があります。
男性ホルモンは薄毛と深い関係がありますが、必ずしも「男性ホルモンが多いとハゲる」わけではありません。男性ホルモンには複数の種類があるからです。そしてテストステロンは、髪を太くする効果があると考えられています。
本記事ではテストステロンと髪の関係について解説していきます。
もくじ
テストステロンは髪を太くする?
代表的な男性ホルモンであるテストステロンは、骨や筋肉の発達、体毛の成長など、男性らしい身体を形成する効果があります。
そのため、テストステロンには髪を太くする効果があると考えられます。「テストステロンと髪の関係」だけに絞って考えれば、テストステロンの分泌量が増えるほど髪が太くなると考えていいでしょう。
ただし、髪質は男性ホルモンだけではなく、遺伝や生活習慣など、様々な要因によって決定される点には注意してください。
ジヒドロテストステロン(DHT)がAGAを促進させる
一方で、薄毛や抜け毛をもたらすのがジヒドロテストステロン(DHT)と呼ばれる男性ホルモンです。
ジヒドロテストステロンの効果としては、胎児期の外性器の生成、認知力・記憶力の向上などが挙げられます。しかしその一方で、毛根の受容体(アンドロゲンレセプター)に取り込まれると、毛母細胞の働きを弱めてしまうため、薄毛や抜け毛をもたらすことがあるようです。
そのため、ジヒドロテストステロンがAGAの主な原因だと考えられています。
テストステロンとジヒドロテストステロンの関係性
髪を太くするテストステロンと、髪を薄くするジヒドロテストステロンには強い関係があります。というのも、ジヒドロテストステロンの材料はテストステロンなのです。
ジヒドロテストステロンは、テストステロンが5αリダクターゼと呼ばれる酵素と結合することで生成されます。
この5αリダクターゼには、Ⅰ型とⅡ型の2種類があり、特にⅡ型は頭頂部や前頭部に分布しています。そのため、AGAは頭頂部や前頭部で発生しやすいのです。
テストステロンを増やすことには多くのメリットがある一方で、テストステロンが増えるほどジヒドロテストステロンが増えてしまう可能性も否めません。そのため、AGA治療では5αリダクターゼやアンドロゲンレセプターの作用を抑制することで、ジヒドロテストステロンの生成を抑えるアプローチが採用されています。
ジヒドロテストステロンが増える4つの理由
ジヒドロテストステロンが増える理由としては、以下の4つが挙げられます。
・喫煙と飲酒
・ストレスによる自律神経の乱れ
・遺伝
・加齢
それぞれ詳しく解説していきます。
理由①:喫煙と飲酒
ジヒドロテストステロンが増える理由として、まず挙げられるのが喫煙と飲酒です。
1994年に医療雑誌JCEMに公開された論文によると、アメリカの中年男性の非喫煙者と喫煙者のジヒドロテストステロンの血中濃度を調べたときに、非喫煙者に比べて喫煙者の方が14%高いことがわかっています。
さらに、タバコに含まれるニコチンやタールは、血管を収縮させる効果があることから、髪の毛に栄養を運べなくなる可能性も考えられています。
一方で飲酒に関しては、アルコールの分解過程で生まれるアセトアルデヒドに、ジヒドロテストステロンの分泌量を増やす作用があります。お酒を飲んだら顔が赤くなったり、二日酔いで頭が痛くなったりするのは、アセトアルデヒドの毒性作用によるものです。二日酔いが出るほどの飲み過ぎは避けるようにしましょう。
理由②:ストレスによる自律神経の乱れ
ジヒドロテストステロンが増える理由として、ストレスによる自律神経の乱れも挙げられます。
ジヒドロテストステロンに限らず、ストレスはホルモンバランスに大きな影響を与えます。特に、自律神経が乱れるほどの強いストレスになると、男性ホルモンの働きが優位になり、ジヒドロテストステロンの分泌量が増えてしまいます。
また、ストレスや睡眠不足は、血流悪化や頭皮の乾燥をもたらし、AGAの直接的な原因になる場合もあります。
普段から規則正しい生活を心がけて、ストレスを溜め込まないようにしましょう。
理由③:遺伝
ジヒドロテストステロンの分泌量は、遺伝との関連が大きいと考えられます。
そもそも、ジヒドロテストステロンの分泌量が決定されるのは、以下の要因です。
テストステロンの分泌量
アンドロゲンレセプターの感受性
5αリダクターゼの活性度
そして「アンドロゲンレセプターの感受性」と「5αリダクターゼの活性度」は、遺伝によって決定されると考えられています。
アンドロゲンレセプターの感受性を決定する遺伝子に関しては、X染色体に存在しているため、母方の祖父でAGAの症状が見られる場合は注意が必要です。
理由④:加齢
ジヒドロテストステロンが増える理由として、加齢も挙げられます。
体毛の成長を促進するテストステロンは20代から30代前半までがピークで、それからは加齢に伴い、分泌量が減少します。
そしてジヒドロテストステロンは、テストステロンの約30倍の活性があるホルモンです。テストステロンを補う形で、ジヒドロテストステロンの分泌量が増えて、結果としてAGAが促進されてしまいます。
ジヒドロテストステロンを優位にしないためにも、テストステロンの分泌量をキープしておく必要があります。
ジヒドロテストステロンを抑制する4つの方法
ジヒドロテストステロンを抑制する方法としては、以下の4つが挙げられます。
・生活習慣を見直す
・食生活を見直す
・頭皮ケア
・AGA治療薬を服用する
それぞれ詳しく解説していきます。
方法①:生活習慣を見直す
ジヒドロテストステロンを抑制する方法として挙げられるのが生活習慣の見直しです。
まずは喫煙と過度な飲酒を避けましょう。先程も述べた通り、喫煙と飲酒はジヒドロテストステロンを増やす要因であると考えられます。また、喫煙と過度な飲酒を控えることは、AGAに限らず、生活習慣病の予防など、様々なメリットがあります。
また、ジヒドロテストステロンは汗や尿で排出されるため、有酸素運動や水分補給も効果的な方法です。特に運動は、全身の血流が良くなることに加えて、ホルモンバランスの正常化にも役立ちます。
あとは睡眠時間も最低6時間、理想を言えば8時間は確保するようにしましょう。
方法②:食生活を見直す
次に、食生活も見直しましょう。栄養バランスを整えるのはもちろんのこと、以下の栄養素はジヒドロテストステロンを抑制すると考えられています。
亜鉛(牡蠣、牛肉、豚レバーなど)
イソフラボン(大豆食品)
ビタミンB6(牛肉、豚肉、魚の赤身など)
大豆食品や牛肉を用いた食事を取り入れてみましょう。
方法③:頭皮ケア
ジヒドロテストステロンを防ぐ方法として、頭皮ケアも挙げられます。
近年は薄毛対策で、ジヒドロテストステロンの分泌を抑えるシャンプーやトニックが販売されています。
特に注目すべき成分はケトコナゾールです。これまで、ケトコナゾールは「抗真菌薬」として用いられていました。しかし最近になって、5αリダクターゼの抑制作用があることがわかってきたのです。
それに加えて基本的な頭皮ケアは、頭皮環境を健全なものにし、発毛を促進する効果が期待できます。基本的な頭皮ケアと抗DHTシャンプーを組み合わせて、生活に取り入れてみましょう。
方法④:AGA治療薬を服用する
生活習慣だけでは手に負えない場合は、ぜひAGA治療薬を検討してください。
AGA治療薬のフィナステリドとデュタステリドには、5αリダクターゼの働きを抑える効果があるため、テストステロンがジヒドロテストステロンに変わるのを防ぐことができます。
ただしAGA治療薬は、副作用をもたらす可能性があるため、必ず医師の処方の元で使用するようにしてください。
まとめ
ここまでテストステロンと髪の関係性について解説していきました。
テストステロンには髪を太くする効果がありますが、ジヒドロテストステロンには髪を薄くする作用があります。そしてジヒドロテストステロンは、テストステロンから生成されるホルモンです。
ジヒドロテストステロンを抑えるには、喫煙や飲酒を控えて、食生活を整える必要があります。そして医学的なアプローチとしてはAGA治療薬がおすすめです。
当クリニックでは、患者様に合わせたAGA治療をご提案できます。薄毛に悩んでいる方は、お気軽にお問い合わせください。
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よくある質問
ここでは、AGAのよくある質問をご紹介します。
性欲の強さとAGAに関連性はある?
性欲とAGAに直接的な関連性はありません。
AGA治療はどれくらいの費用がかかる?
当クリニックではAGA治療薬を月5,500円〜16,520円でご提供しています。
<参照元>
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7962322/
The relation of smoking, age, relative weight, and dietary intake to serum adrenal steroids, sex hormones, and sex hormone-binding globulin in middle-aged men
A E Field 1, G A Colditz, W C Willett, C Longcope, J B McKinlay
所在地 〒530-0002 大阪府大阪市北区曽根崎新地1-3-16 京富ビル2階
TEL 06-6940-7101
FAX 06-6940-7102
受付時間 10:30〜19:00 (完全予約制)
この施術ページの監修医師
医療法人優聖会最高顧問井畑 峰紀
糸リフトやフィラー注入によるしわ・たるみ治療や、にきび治療などの美肌治療を中心とした美容医療に携わる、確かな実績を持つ医師。

糸リフトやフィラー注入によるしわ・たるみ治療や、にきび治療などの美肌治療を中心とした美容医療に携わる、確かな実績を持つ医師。
所属
- 平成15年
- 大阪医科大学 形成外科教室:入局
- 平成21年
- 大阪医科大学 助教(准):就任
美容クリニック非常勤勤務:歴任
- 平成24年
- 医学博士学位取得
日本形成外科学会 専門医認定
- 平成25年
- 某美容クリニック:院長就任
- 令和5年
- プライベートスキンクリニック
最高顧問:就任 現在に至る
略歴
- 一般社団法人日本形成外科学会 形成外科専門医
- 特定非営利活動法人日本レーザー医学会 認定医
- 一般社団法人国際抗老化再生医療学会 正会員
- 一般社団法人 日本美容外科学会 JSAPS(Japan Society of Aesthetic Plastic Surgery) 正会員
- 一般社団法人日本美容皮膚科学会(Japanese Society of Aesthetic Dermatology 正会員
- 一般社団法人日本頭蓋顎顔面外科学会 正会員
- アラガン社 VST(ボトックスビスタ)認定医
- アラガン社 ヒアルロン酸バイクロスシリーズ注入認定医
- Miramar Labs社(ミラドライ開発社)ミラドライ認定医